【運動】貯筋で歩行を守る|理学療法士が教える「一生歩ける体」を作る筋トレ

目次

最近つまずきやすくなった…それは「筋力低下」のサインかもしれません

「ちょっとした段差でつまずくようになった」 「階段の上り下りが前よりきつい」 「長く歩くと脚が重くなる」こうした変化は、多くの方が40代以降に感じ始めます。 しかし実際には「年のせい」と見過ごされがちです。そんな些細な変化を放置していませんか? 18年の臨床現場で見てきたのは、その小さなサインを見逃したことで、わずか数ヶ月で歩行困難になってしまっている現実です。

理学療法士として日々歩行評価を行っていると、歩行が不安定になり始めた方の多くに共通点があります。 それは筋力が静かに、しかし確実に低下しているという事実です。

この記事では、ジョグタイムが運動分野のメインコンテンツとして掲げる 「貯筋(ちょきん)」という考え方と、 自宅で安全に始められる筋トレを、理学療法士の視点から解説します。


なぜ「貯金」ならぬ「貯筋」が必要なのか?

筋肉は40代から毎年約1%ずつ減っていく

加齢に伴い筋肉量は自然に減少します。複数の疫学研究では、筋肉量は40代以降、年間約1%ずつ低下すると報告されています(例:筋力トレーニングの疫学レビュー)。

この変化は急激ではありません。 だからこそ気づきにくく、気づいた時には歩行や日常動作に影響が出ているケースが多いのです。

30年後、筋肉はどれくらい減っているのか?

実際はそこまで単純ではありませんが、40歳から30年間、筋肉量が1%ずつ減ったと仮定してみましょう「1%なら大したことがない」と感じるかもしれません。 しかし、この1%が30年積み重なると、結果は大きく変わります。

40歳時点の筋肉量を100%とした場合、 70歳では約74%まで低下する計算になります。つまり、何もしなければ30年間で筋肉の4分の1以上を失うということです。

理学療法士として現場で感じるのは、 この「失われた25%」こそが、 つまずき・階段がつらい・長く歩けないといった変化の正体だという点です。

フレイル・サルコペニアと歩行機能の深い関係

筋力低下が進むと、次のような状態に移行します。

筋力低下の状態
  • サルコペニア:加齢による筋肉量・筋力の低下
  • フレイル:心身の活力が低下し、要介護に近づく状態

サルコペニアとは、加齢に伴い骨格筋量・筋力・身体機能が低下した状態を指し、健康から要介護への中間にある「フレイル」の身体的側面とされています。

理学療法士の立場から見ると、 歩行機能の低下はフレイルの初期サインとして現れることが非常に多いです。だからこそ重要なのが、 衰えてから鍛えるのではなく、元気なうちに「貯めておく」=貯筋という考え方です。

フレイルの段階でもがんばれば元気な姿に戻れる

貯筋はすごく大切な考え方ですので、まだ元気な人は頑張って今の状態を維持してもらいたいのですが、フレイルになって筋力低下が起こってしまったらどうしようもないのかというと、そうではありません。フレイルというのは、身体的(筋力低下)、精神的(気分低下)、社会的(孤立)という多面的要因を含む状態であり、介入により改善可能な「可逆性」を持つとされています。

要するにフレイルの状態というのは、多少弱ってはいても運動を頑張ることによって筋力低下を改善して元気な状態に戻ることができる状態なのです。ただし、フレイルというのは運動面だけではなく、精神的な影響もありますし社会的な孤立も影響しているので、多面的に改善させていく必要があります。

その中でもここでは運動面に着目して自宅でも行える運動について紹介していきます。


理学療法士が推奨する「3大・自宅エクササイズ」

ここで紹介する運動は、私自身が臨床現場で 「歩行を守るために優先度が高い」と判断しているものです。

すべて自宅で・器具なしで行えます。

① スクワット|下肢全体の筋力を貯める

スクワットは太もも・お尻・体幹を同時に鍛えられる、最重要エクササイズです。

歩行や階段動作で「脚が出にくい」「踏ん張れない」方の多くは、 立ち上がる力(大腿四頭筋・殿筋)が低下しています。

  • 椅子に座る→立つをゆっくり繰り返す
  • 10回×1〜2セットからでOK
理学療法士の視点

 膝が痛い方は、椅子に座る直前で止める「ちょい座りスクワット」から始めてください。太ももの筋肉(大腿四頭筋)だけでなく、お尻(大臀筋)を意識することで、腰痛予防にも繋がります。

② 片脚立ち|バランス能力と転倒予防

つまずきや転倒は、筋力だけでなくバランス能力の低下が大きく関与します。

片脚立ちは、歩行中の片脚支持期を鍛える、非常に理学療法士的な運動です。

  • 壁や椅子に手を添えて安全確保
  • 左右10〜30秒ずつ
理学療法士の視点

 目線を1.5m先の床に固定すると重心が安定します。もしふらつく場合は、壁に指1本触れるだけでも、脳への深部感覚フィードバックが働き、転倒リスクを下げつつトレーニング可能です。

③ ヒップリフト|姿勢と歩行の推進力を作る

仰向けでお尻を持ち上げるヒップリフトは、 骨盤を支え、歩行の推進力を生む筋肉を鍛えます。

歩行時に「すり足になる」「歩幅が小さい」方には特に重要です。

  • 仰向けで膝を立て、お尻を持ち上げる
  • 10回×1〜2セット
理学療法士の視点

 お尻を持ち上げるときに腰を反りすぎると腰痛の原因になってしまうので、身体がまっすぐになるところまでを目安にしてください。朝起きたときや寝る前にすると、わざわざ寝転がらなくてもついでの体操でできます。


運動を継続するための「スモールステップ」のコツ

どんなに良い運動でも、続かなければ意味がありません。

理学療法士として多くの方を見てきて感じるのは、 「やる気」より「仕組み」が継続を左右するということです。

生活動線に組み込む

  • 歯磨き中に片脚立ち
  • テレビCM中にスクワット
  • 寝る前にヒップリフト

「運動の時間を作る」のではなく、 いつもの生活に重ねることがコツです。

完璧を目指さない

1日できなくても問題ありません。 週に数回でも「貯筋」は確実に積み上がります。


まとめ|今日から始める「貯筋」生活

歩行を守るために必要なのは、 特別なトレーニングや高価な器具ではありません。まずは以下のステップから始めましょう。

  • 歩行チェックをやってみる:今の状態を知る
  • 今日の5分貯筋チャレンジ:朝・昼・夜に各1種目
  • フォーム動画を見る:正しい動きを理解

今の筋力を維持し、少しずつ積み上げていく「貯筋」こそが、 将来の歩行・外出・自立した生活を支えます。

岡山市や三原市では、地域のコミュニティセンターでの運動教室も盛んです。自宅での運動に慣れたら、次は地元の『いきいき百歳体操』などに参加し、社会参加の第一歩を踏み出しましょう。

ジョグタイムでは、運動だけでなく 栄養・社会参加を含めた「動ける生活」を大切にしています。

▶ もっと詳しく自分の状態を知りたい方へ:

フレイルチェックツール

まずは今の状態を1分でチェック

最近つまずきやすい、疲れやすいと感じていませんか?
フレイルは「気づくこと」から予防が始まります。

無料フレイルチェックをする

監修者からのコメント

本記事は、理学療法士としての臨床経験と、フレイル予防に関する国内外のガイドライン・一次情報を基に構成しています。

「今日から何ができるか」を重視し、専門知識をできる限り生活に落とし込むことを意識しました。

解説している内容は「日常生活で実践可能な行動」に重点を置いています。
気になる症状が長引く場合は、医療・専門職の評価を受けることをおすすめします。

監修:理学療法士 リハプロ代表

監修者プロフィールはこちら

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

リハプロ代表のアバター リハプロ代表 理学療法士

山陽地域を中心に活動する、臨床経験18年目の現役理学療法士です。これまでのキャリアで延べ6万単位以上の理学療法に従事し、特に高齢者の自立支援とフレイル予防を専門としてきました。
4児の父として育児に奮闘する傍ら、現在の医療・介護報酬の限界を打破するため、最新のIT・AI技術を駆使した「介護に頼らない健康的な身体を維持する仕組みづくり」に挑戦中。
当サイト「ジョグタイム」では、医学的根拠(エビデンス)に基づいた正しい運動知識と、40代から意識すべき「フレイル」対策を、理学療法士の視点で分かりやすく解説します。
【保有資格・実績】
・理学療法士
・フレイル・介護予防関連の臨床経験あり
・Pythonを用いたリハビリ支援システム開発中

コメント

コメントする

目次