フレイルの原因とリスク要因|なりやすい人の特徴を理学療法士が解説

「なぜフレイルになるのだろう?」「自分はなりやすいのだろうか?」——そんな疑問を持ったことはありませんか?

フレイルは、老化そのものとは少し違います。年齢を重ねることで体は変化していきますが、フレイルには「なりやすくなる原因」があり、その多くは生活習慣や環境に関係しています。原因がわかれば、今日から少しずつ整え直していくことができます。

この記事では、フレイルの主な原因とリスク要因を整理し、「自分はどうだろう?」と気になった方が今日からできることをお伝えします。


目次

フレイルの原因は3つの要因に分けられる

フレイルの原因を大きく分けると、身体要因・栄養要因・社会要因の3つに整理できます。

  • 身体要因:筋力の低下、活動量の減少、慢性疾患(糖尿病・心疾患・骨粗しょう症など)による体力の衰え
  • 栄養要因:食欲低下や低栄養による筋肉・エネルギーの不足
  • 社会要因:社会参加の減少、外出機会の縮小、人とのつながりの希薄化

地域の高齢者を対象とした研究でも、身体・栄養・社会の要因がフレイルに複合的に関係することが報告されています。

この3つは独立しているのではなく、互いに影響し合っています。どれかひとつが変化すると、ほかの要因にも波及しやすい——というのがフレイルの特徴です。


フレイルの主な原因は何か?

フレイルの原因は、ひとつではありません。複数の要因が重なることで、じわじわと進んでいきます。

大きく分けると、以下の3つの流れが絡み合っています。

① 筋肉量の低下(サルコペニア)

年齢とともに筋肉は減りやすくなりますが、活動量が少ないとその速度が早まります。1日の歩数が少ない、座っている時間が長いといった生活が続くと、筋力の低下が進みやすくなります。立ち上がりにくくなった、歩くのが遅くなったという変化は、フレイルの入口になりやすいサインです。

② 栄養不足(低栄養)

食欲が落ちたり、食べる量が減ると、体を動かすためのエネルギーやたんぱく質が不足します。特に高齢になると吸収力も変化するため、食事量が少し減っただけで影響が出やすくなります。低栄養の状態が続くと、筋肉の維持がさらに難しくなります。

③ 社会的なつながりの減少(社会参加の低下)

外出が減り、人と会う機会が少なくなると、体を動かすきっかけも、気持ちを保つ刺激も失われやすくなります。「誰かと話す」「出かける理由がある」ことは、フレイルの予防として意外なほど大きな役割を持っています。

この3つは互いに影響し合っています。動かなくなると食欲が落ち、食べられないと体力が落ち、体力が落ちると外に出なくなる——こうした悪循環がフレイルを進める仕組みです。


フレイルになりやすい人にはどんな特徴があるのか?

フレイルのリスクが高まりやすい状態や状況があります。ただし、これらに当てはまるからといって「必ずなる」ということではありません。「気をつけたいポイント」として参考にしてください。

活動量が少ない

1日の大半を座って過ごしている、外に出る機会がほとんどない、という生活が続くと、筋力や体力の低下が進みやすくなります。

食べる量が減ってきた

以前と比べて食事の量が減った、食欲がわかない日が続いている、という状態はリスクのサインになることがあります。特にたんぱく質(肉・魚・卵・豆腐など)が不足すると、筋肉が減りやすくなります。

人と会う機会が少ない

一人で過ごす時間が長い、地域の集まりや趣味の活動に参加しなくなった、という状況では、精神的なフレイルが進みやすくなります。

持病がある・薬が多い

糖尿病、心疾患、骨粗しょう症などの持病は、フレイルが進みやすい背景になることがあります。また、複数の薬を服用している場合は、食欲や活動意欲に影響することもあるため、気になる場合はかかりつけ医に相談してみるとよいでしょう。

大きなイベントのあと

入院・手術・引越し・配偶者との死別など、生活が大きく変わる出来事のあとは、フレイルが進みやすい時期です。こうした時期は周囲のサポートが特に大切になります。


生活の中でリスクが高まりやすい場面はどこか?

理学療法士として現場でお話をしていると、「こういう場面のあとから変わった気がする」という声をよく聞きます。

コロナ禍や長雨など、外に出にくい期間が続いたとき
外出自粛や天候の影響で家の中で過ごす時間が増えると、体を動かす量がぐっと減ります。短期間でも積み重なると、体力・気力の両方に影響が出やすくなります。

一人暮らしになったとき
食事の準備が面倒になり、簡単なもので済ませるようになる。外に出る理由が減る。これらがひとつになりやすいタイミングです。

趣味や楽しみを失ったとき
好きなことをする気持ちが薄れたとき、日々の活動量や意欲が下がりやすくなります。

これらは「気をつけていれば防げる」というよりも、「変化に気づいたらケアのタイミング」として意識するのが大切です。


加齢とフレイルの原因はどう違うのか?

「年を取ればフレイルになるのは当然では?」と思う方もいるかもしれません。でも、加齢とフレイルは少し異なります。

加齢による変化は誰にでも起こりますが、フレイルは「可逆的な状態」——つまり、今から整え直せる状態です。

同じ年齢でも、活動的に外出し、食事を丁寧に摂り、人とのつながりを持っている方は、フレイルになりにくい傾向があります。年齢よりも、「日々の生活のあり方」がフレイルの進み方を大きく左右しています。

比較対象は「若い頃の自分」ではなく、「同年代の中でどうか」という視点が参考になります。


原因を知ったら、今日から何ができるのか?

原因がわかったとき、「全部やらなければ」と思う必要はありません。まずひとつから試してみることが大切です。

最小の一歩(今すぐできる)

  • 食事のとき、卵や豆腐などたんぱく質をひとつ意識して加えてみる
  • 椅子から立ち上がる動作を、1日数回意識してやってみる

日常の中で(生活の流れで)

  • 近所のコンビニや郵便局まで、歩いて行く
  • 顔見知りに声をかけてみる

続けていくこと(習慣として)

  • 週1回、地域の集まりや体操教室に顔を出す
  • 散歩を「日課」ではなく「気が向いたときに」という軽い気持ちで続ける

「完璧にやる」よりも「続けられること」を選ぶことが、フレイル予防の本質です。


まとめ:フレイルの原因は複合的。でも、今日から変えられます

フレイルの原因は、筋力低下・栄養不足・社会的孤立が複雑に絡み合っています。そしてそれらの多くは、生活の中で少しずつ変えていくことができます。

原因を知ることは、「責める材料」ではなく「ケアの入口」です。「そういう傾向があるんだな」と知ったうえで、今日から1つだけ試してみてください。

少しでも「できそう」と感じていただければ、それで十分です。


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監修者からのコメント

本記事は、理学療法士としての臨床経験と、フレイル予防に関する国内外のガイドライン・一次情報を基に構成しています。

「今日から何ができるか」を重視し、専門知識をできる限り生活に落とし込むことを意識しました。

解説している内容は「日常生活で実践可能な行動」に重点を置いています。
気になる症状が長引く場合は、医療・専門職の評価を受けることをおすすめします。

監修:理学療法士 リハプロ代表

監修者プロフィールはこちら

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この記事を書いた人

リハプロ代表のアバター リハプロ代表 理学療法士

山陽地域を中心に活動する、臨床経験18年目の現役理学療法士です。これまでのキャリアで延べ6万単位以上の理学療法に従事し、特に高齢者の自立支援とフレイル予防を専門としてきました。
4児の父として育児に奮闘する傍ら、現在の医療・介護報酬の限界を打破するため、最新のIT・AI技術を駆使した「介護に頼らない健康的な身体を維持する仕組みづくり」に挑戦中。
当サイト「ジョグタイム」では、医学的根拠(エビデンス)に基づいた正しい運動知識と、40代から意識すべき「フレイル」対策を、理学療法士の視点で分かりやすく解説します。
【保有資格・実績】
・理学療法士
・フレイル・介護予防関連の臨床経験あり
・Pythonを用いたリハビリ支援システム開発中

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