フレイルとは?理学療法士がわかりやすく解説|原因・予防・改善まで完全ガイド

フレイルは単なる「老化」ではなく、健康寿命を左右する重要な概念です。 加齢と共に体力・筋力・意欲・社会性が低下し、転倒や要介護につながるリスクのある状態ですが、 実は「予防できて」「改善できる」という点が重要です。 本記事では、理学療法士としての実践してきた経験と最新の一次情報をもとに、 フレイルの定義から予防・改善方法まで丁寧に解説します。


フレイルとは何か?|健康と要介護の中間にある状態

フレイル(frailty)は、日本老年医学会によると、 「健康な状態と要介護状態の中間、加齢に伴う心身の活力低下」 と定義されています。 これは健康寿命を縮める大きなリスクとされ、早期発見・早期介入が重要です。

フレイル・サルコペニア・ロコモの関係

フレイルは複数の側面から成り立ちますが、特に身体機能の低下には サルコペニア(筋肉量・筋力低下)が深く関わっています。 これは “筋肉そのものが減る状態” を指し、歩行能力や立ち上がり力の低下につながります。 また、運動器の機能低下を中心とした状態を示す「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」は フレイルと重なりながら、身体機能の衰えを包括的に評価する概念として用いられています。


なぜフレイル予防が重要なのか?【データで見るリスク】

高齢者を対象とした疫学調査では、フレイル状態の人は非フレイル者に比べて

  • 転倒リスクが高くなる
  • 入院・要介護状態へ移行しやすい
  • 死亡リスクが上昇する

ことが示されています。 しかし重要なのは、フレイルは「不可避ではない」ということです。 運動・栄養・社会参加の3つの柱で介入することで、機能改善や予防が可能であるとされています。

理学療法士の現場メモ

フレイルには評価基準(J-CHS基準など)が存在しますが、実際の現場では「基準に当てはまるまでの低下はないが、フレイルになりそうな生活をしている人」を良く見かけます。

そのため私は、数値だけで判断せず、歩き方・立ち上がり・表情・会話量・普段の生活習慣といった日常動作の変化や生活スタイルを重視しています。


フレイルが進行するメカニズム(理学療法士の視点)

フレイルの進行は必ずしも単純な直線ではありませんが、次のようなプロセスで進みます。

  • 社会参加の減少:外出・交流が減る
  • 運動量の低下:筋力・バランスが落ちる
  • 口の機能の低下:歯が抜けていき、固いものが食べられなくなる
  • 栄養不足:食事量が減少し、タンパク質・エネルギーが不足
  • 身体機能の低下:歩行速度・立ち上がり力の低下

理学療法士として臨床で多くの高齢者を評価すると、 初期は「歩けるはずなのに外に出る機会が減った」という生活変化から始まり、 少しずつ身体機能低下につながっていくケースが多く見られます。


フレイル予防の3本柱|運動・栄養・社会参加

フレイルの予防では、次の3つの要素が主要な介入ポイントとして重視されています:

① 運動|歩行と筋力を守る「貯筋」

筋肉量・筋力は年齢と共に減少しますが、定期的な運動で維持・改善が可能です。 理学療法士としては、下肢筋力・バランス能力・体幹安定性を中心に強化することが重要と考えています。 詳細は 運動ガイド(貯筋で歩行を守る) をご覧ください。

② 栄養・口腔|食べられる力を守る

低栄養、とりわけタンパク質不足はフレイル進行に深く関与しています。 また、噛む力・飲み込む力の低下(オーラルフレイル)は食べる量を減らし、 身体機能の低下を加速させます。 詳細は 栄養・口腔ケアガイド をご覧ください。

③ 社会参加|孤立を防ぐ心身の活力維持

人とのつながりや外出は、身体活動量だけでなく 認知機能・気分・生活リズムを保つうえでも重要です。 特に週1回以上の交流・外出はフレイル予防に効果的な行動として示されています。 詳細は 社会参加ガイド をご覧ください。

理学療法士の現場メモ

現場では「フレイル予防=運動」と思われがちですが、
実際には運動を始める前段階の環境づくりが重要なことも多いです。

体力以前に、
「外に出る理由がない」
「人と話す機会が減っている」
という背景を見落とすと、継続につながりません。

特に男性の方は地域の集まりに出たがらない人が多い印象ですので、
働けるうちは働き続けることも一つの考えです。


フレイルチェック|今日からできる自己評価

フレイルは自覚症状だけでは発見しにくいため、 以下の簡単なチェックを目安にしてみてください。

  • 最近つまずきやすい
  • 階段がきつくなった
  • 体重が減ってきた
  • 外出回数が減った

自己評価だけで不安な場合や複数該当する場合は、 専門職の評価を受けることをおすすめします。


まとめ|フレイルは防げる・戻せる

フレイルは加齢と共に進行するものではありますが、 決して放置すべき老化現象ではありません。 運動・栄養・社会参加の3本柱に沿った取り組みで防ぐことができ、 改善の余地もあります。

  • ▶ フレイルチェックツールで現状を確認する
  • ▶ 運動から始める(貯筋で歩行を守る)
  • ▶ 栄養・口腔の強化
  • ▶ 社会参加で孤立を防ぐ

まずは「できることを1つ」から始めましょう。 小さな行動の積み重ねこそが健康寿命を延ばす鍵です。

リハプロ代表
理学療法士
山陽地域を中心に活動する、臨床経験18年目の現役理学療法士です。これまでのキャリアで延べ6万単位以上の理学療法に従事し、特に高齢者の自立支援とフレイル予防を専門としてきました。
4児の父として育児に奮闘する傍ら、現在の医療・介護報酬の限界を打破するため、最新のIT・AI技術を駆使した「介護に頼らない健康的な身体を維持する仕組みづくり」に挑戦中。
当サイト「ジョグタイム」では、医学的根拠(エビデンス)に基づいた正しい運動知識と、40代から意識すべき「フレイル」対策を、理学療法士の視点で分かりやすく解説します。
【保有資格・実績】
・理学療法士
・フレイル・介護予防関連の臨床経験あり
・Pythonを用いたリハビリ支援システム開発中