ランニングは誰も気軽にできる運動のひとつです。年齢が若いとか年だからとか関係なく身体が動く人であれば誰でもできるため、健康的な生活を送っていくために取り入れようとしている人は多くなっています。
特に60歳を過ぎてからランニングを始められる人も増えていますので、これからランニングをしようと思っている人がケガなく楽しく長期的に続けることができるよう走る際の体の軸の重要性について理解を深めていただきたいと思います。
私が普段現場で仕事をしていて関わっている対象者は、80歳を超えられた後期高齢者がほとんどです。
そのような人たちにランニングを勧めるのは転倒の危険があるのでできませんが、60代くらいからしっかりと体の軸を意識してランニングを始めてもらえると、自信の健康寿命を延ばすことにつながるのでオススメです。
走る際の体の軸の重要性
走るときに体の軸がしっかりとしていることが重要になってきますが、その理由について4つ挙げることができます。
- 効率的な移動:体の軸が安定していると、動きが一貫してスムーズになり、体力を余分に消耗することなく速度を上げることができます。
- コントロール:体の軸がしっかりとしていると、身体の動きをより良くコントロールすることができ、バランスを保つことが容易になります。
- ケガの防止:体の軸が不安定だと、不用意な動きによって筋肉を引っ張ったり、関節に過度な負荷をかけたりするリスクが高まります。体の軸をしっかり保つことで、これらのリスクを抑えることができます。
- パフォーマンス向上:体の中心を安定させることで全体的な身体の連動性が向上し、力の発揮や速度、距離などパフォーマンス全般を向上させることが可能です。
このように考えると、体の軸を安定させることでメリットしかないですよね。
体の軸を安定させるためのトレーニングの目的と効果
体の軸を安定させるためのトレーニングの目的として3つ挙げられます。
- 体幹筋の強化:体の軸を安定させるためには、体幹部(背中、腹部、腰)の筋肉、特にコアと呼ばれる筋群の強化が必要となります。これらの筋肉が強化されると、体の安定性が向上し、より良いパフォーマンスを発揮することができます。
- バランス能力の向上:体の軸を固定することで、体全体のバランスを維持する能力が向上します。これにより、瞬発力や反射動作が改善され、運動能力全般がアップします。
- エネルギー効率の改善:体の軸が安定すれば、運動中のエネルギー分散が減少し、動きが効率的になります。これにより疲労の蓄積が減少し、長時間の運動でもパフォーマンスが維持できます。
体の軸を鍛えることの効果をどう考えるか?
体の軸を安定させるトレーンニングを実施することによって、最初に述べたような4つの効果が得られるようになるでしょう。
しかし、私が考えるのは長期的な視点です。人生100年時代と言われるように日本人の平均寿命というは延びていっています。それは入院患者さんをみていれば分かるのですが、90歳の方が本当に多いです。
ただ、その年代の人が若かった時には、今の時代のように便利な道具はあまり普及しておらず、自分たちの身体を使って生活してきたように思います。その影響で腰曲がりや膝の変形が強くなっている場合も考えられますが、現代の生活よりも筋肉を使っていたのは間違いないでしょう。
一方で現代の私たちは、生活が便利になったことによって身体を使う機会が極端に少なくなっています。そのため、様々なストレスに対する抵抗力も弱まっていたり、将来に対する筋肉のたくわえ(貯筋)が少なくなっていたりと、将来の生活に対する不安がぬぐえません。
そうした中で、しっかりと体の軸を安定させるためにトレーニングを行っていただきたいと思います。
7. 体の軸を安定させるためのトレーニング
体の軸を安定させるためのトレーニング方法について、いくつか紹介していきます。
私が普段指導している内容から抜粋して誰でも行いやすいものを選んでいますので、このなかから自分に合ったものをピックアップして行うようにしてみてください。
腹筋運動
名前を聞いただけでどんな運動かが想像できるかと思います。
- まずはじめに、床に背中をつけて横向きに寝ましょう。
- 膝を曲げて腰を持ち上げ、手は身体の前で腕組みします。
- 呼吸を整えた後息を吐きながら、頭や肩甲骨を床から浮かして上体を起こしてみましょう。おなかの筋肉を使うように感じてください。
- 上体を起こせたら、ゆっくりと元の位置に戻ります。
これを15回繰り返しましょう。手を使わず、おなかの力だけで身体を起こすように意識することがポイントです。
背筋運動
この運動もいままで運動経験がある方であれば、ピンとくる内容と思います。
- うつ伏せになってお腹を床につけます。
- 両手を頭の方向に、両足を後ろの方向に伸ばします。
- 体を床から離すように頭と足を同時に上げます。背中の筋肉を使って、スーパーマンが飛んでいるような形を作るのが目標です。
- 数秒間そのままの姿勢を保ったら、ゆっくりと元の位置に戻ります。
これも15回繰り返しましょう。背中の筋肉もしっかり使って、体をまっすぐに保つように意識します。
これらの運動を日常的に行うことで、体の軸を安定させるためのお腹周りの筋肉を鍛えることができます。もし、無理せずに自分のペースで行いましょう。毎日少しずつでもコツコツと続けていくことが大切です。
次に、立った状態で行うトレーニングについて説明しますね。
片足バランス練習
- まず、安全な場所で直立した姿勢を取りましょう。
- 一方の足を持ち上げ、反対の足でバランスを取るようにします。できるだけ上げた足を曲げずに、床と平行になるようにしましょう。
- この状態をできるだけ長く維持します。最初は数秒からでも良いので、徐々に時間を長くしましょう。
- 同じことをもう一方の足でも行います。
これは体の軸を固定するためだけでなく、基本的なバランス能力を養うトレーニングです。
スキップ走行
- 最初に、安全なところで直立型の走行姿勢を取ります。
- 片足を膝を高く上げながら、浮き足を前に向け、大きくスキップ(跳ねるように)します。
- 目の前を見て、姿勢を保ちながら同じ動きを継続します。
スキップ走行は、体の軸を保ったまま走る感覚を養うのに適しています。
上記のようなトレーニングを行うことで、体の軸を安定させることができ、走るときにも大いに役立ちます。誰でも始められるシンプルなトレーニングを紹介していますので、まずはここで紹介しているトレーニングから始めていただき、徐々に難易度を上げていくと良いでしょう。
一番は健康的に実施していただくことなので、決して無理のないよう安全第一で行っていってください。
まとめ
走る際に体の軸がどれだけ重要かについて述べてきました。これからランニングを始める人にとって単純に走るだけよりも、体の軸を意識することでケガの予防や効率性アップにつながるため、ぜひとも意識してほしいと思います。
体の軸が鍛えられることによって、ランニングだけに限らず日常生活においても大きなメリットを得ることができるでしょう。忙しい毎日でなかなか時間がとりにくいかもしれませんが、自分の将来に対する貯筋としてしっかりとトレーニングを行っていってくださいね。
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